「TSUNAGI通信 第6号」2025年 春号

TSUNAGI通信 2025年初夏号

議会に送っていただき3年目に入り、任期の折り返しを迎えました。
3月議会では今までで最長の80分を与えられ一般質問に立ちました。
その概要をお知らせします。
(時間的経過をわかりやすくするため)

おくの尚美 3月議会 一般質問 ~抜粋~

3月議会での質問内容

  • カスタマーハラスメント対策
  • 学校のサポートルーム
  • カリキュラム・オーバーロードの問題
  • 避難者支援
  • 図書館と地域とのかかわり
  • 郷土資料館・平和資料館・市民ギャラリー

1.カスタマーハラスメント対策

おくの

カスタマーハラスメントが社会問題となっている。「お客様は神様」といった風潮もある中、一事業者が対策を打ち出すのは難しい。全国の自治体でとりくみが広がる中で、西宮市としても防止条例策定などの姿勢を打ち出すべきではないか。

産業文化局長
答弁

カスタマーハラスメント対策の強化を盛り込んだ「労働施策総合推進法改正案」が
提出される見込みとなっている。国の動向を注視していく。

【おくのの考え】
改正法案では「事業主が構ずべき措置等の指針を定める」となっていて事業者が動かないといけない。

中小個人事業主を守る意味においても、西宮で働くすべての労働者の心と体を守り、住む人が気持ちよくサービスを受けることができるよう、国の動向を見据えたうえで、市としてもとりくみを検討することを望む。

学校におけるカスタマーハラスメント防止

おくの

全国的に精神疾患で休む教員は増えている。教員のなり手不足や未配置が社会問題となる中、保護者からの過大な要望を受ける教職員に対する心理的な支援や法的支援の体制はどうなっているか。

また、防止に向けた啓発活動、組織的な対応マニュアル、東京都の「学校問題解決サポートセンター」のような安心して相談できる機関が必要と考えるがどうか。

教育次長答弁

これまでは、統一的かつ網羅的な対応ができているとは言えない状況であることから、市庁事務部局や他都市を参考に、学校現場における「カスタマーハラスメント」対策について検討していく。

保護者等の過大な要望に苦慮している教職員に対しては、指導主事等が指導や助言などを行っている。ケースによっては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが対応に入ることもあり、委託契約をしている弁護士による法律相談も行っている。

現在、組織的な対応マニュアルはないが、各校で管理職や生徒指導担当を中心に対応している。東京都のような組織の設置については、他府県、他市の状況を研究していく。
教育委員会では「学校問題解決支援チーム」を設置しており、通常の学校の対応では解決が困難な問題について、学校園への派遣や助言などで対応し、早期解決や教職員の負担軽減を図っていく。

【おくのの考え】
学校に過度な要求が続くと、教職員が休職や早期退職を余儀なくされる場合もあるが、一番不利益を被るのは子どもたちである。今回も、学校を守ることだけが目的ではなく、学校と保護者・地域が敵対関係であってはならないと考えて質問した。

過度な要求をする保護者や地域の方がいる場合でも、その思いを学校がくみ取れていないことや、背景に別の問題があることがある。カウンセラーやソーシャルワーカーなど、調整役となる第3者機関も必要である。

2.学校のサポートルーム

【サポートルーム】さまざまな理由から教室に入りづらい児童・生徒の居場所となるように校内に設けられている部屋

川西市のサポートルームの様子(川西市HP より)

おくの

川西市では不登校対策支援員が中学校は終日、小学校は4時間、会計年度任用職員で配置され、年2回の研修も実施されている。
西宮市でも同程度の配置と研修が必要と考えるがどうか。
また、緊急避難的な利用を認めることや、安心して過ごせる癒しの空間とすること等が市内共通でできるように文書の発出はできないか。

教育次長答弁

限られた予算の中で可能な限り居場所サポーターを配置し、オンライン研修も行っている。またサポートルームが児童生徒にとって安心できる居場所となるよう、柔軟な環境づくりや、全ての教職員がその趣旨を理解する必要があると感じている。

緊急避難的措置の必要性は各校担当者へ伝える。
よりよいサポートルームの運営のため、その趣旨や留意事項等について文書の発出を検討していく。

【おくのの考え】
市長の市政方針に「学びの多様化学校」のことが出てきたが、一部の児童生徒しか行けない学校よりも、校区の学校に居場所を作ってほしい。多くの子どもたちの願いは自分の学校に登校することだ。「学びの多様化学校」にかけるお金があるのであれば、居場所サポーターを雇用し、子どもたち一人ひとりが自分の学校に居場所のある当たり前の環境を作ることを切に願う。

3.カリキュラム・オーバーロードの問題

【カリキュラム・オーバーロード】
授業時数や学習内容が過多となり、子どもや学校に過大な負担がかかっている状態

小学校の年間総授業数(単位:時間)

スクロールできます
学年1989年
(旧課程)
1998年
(ゆとり教育)
2017年
(改定後)
増加時間
(2017年-1998年)
1年850時間782時間850時間+68時間
2年910時間840時間910時間+70時間
3年980時間910時間980時間+70時間
4年980時間945時間1,015時間+70時間
5年1,015時間945時間1,015時間+70時間
6年1,015時間945時間1,015時間+70時間
おくの

学習指導要領での年間授業時数は、週休2日制完全移行前と同じ1015時間となっている(。小4以上)小学校1年生から5時間授業で、小学校4年生から週4日6時間授業となっている。学習内容も増えて、教科書も分厚く重くなっている。

子どもの緊張状態が続くと脳が疲労を訴え、考えることができなくなる症状を引き起こすことも指摘されている。また、それが不登校の要因ともされている。

カリキュラム・オーバーロードによる過大な負担を解消するためのとりくみは進んでいるのか。
1015時間を大幅に超過している学校がある話も聞くが、西宮ではそのようなことはないか。
授業時数に余裕があるのであれば、熱中症の危険もある夏季休業中の授業日をなくすことはできないか。

教育次長答弁

各校の授業時数は学期ごとに報告を受けているが標準授業時数を大幅に超過した学校はなかった。引き続き適正に実施されるように指導していく。

2020年度から、夏季休業日の最終2日間を授業日にすることと、3学期の始業を1月7日に早めて休業日を短縮する試行をおこなっている。2024年度からは、新年度の児童生徒の受け入れ体制を整える観点から、春季休業の期間を2日伸ばすことを試行内容に追加している。

また、中学校・義務教育学校後期課程は週29コマの実現を目指し、今年度より月2回の週29コマを計画した。来年度以降の本格実施に向けて、これまでの試行内容の結果の検証・協議を行っている。

今後も、適正な教育課程を編成し、子どもたちの豊かな学びの創造と、持続可能な学校運営の視点から学習指導要領に基づく教育課程の効率的で円滑な実施について効果的な取り組みを推進していく。

【おくのの考え】
学校で教えることは増え続けている。多忙化の大きな要因の一つであり不登校の要因でもある。
保護者や児童生徒の悩みや訴えに早急に気づき丁寧に対応する時間とゆとりがあれば、不登校など子どもたちの状況を改善できるかもしれない。教育長は文科省に戻られたら、「学びの多様化学校」よりも、各学校で柔軟な授業ができるような体制を作っていただきたい。

「東京書籍 算数 小学5年」頁数と標準時数

学習指導要領
改訂
学習指導要領
の文字数
教科書の
ページ数
標準時数標準時数
あたり頁数
198912,6462121751.2
199811,2121741501.2
201724,6833101751.8

4.大規模災害時の避難者支援

おくの

災害時は段ボールベット等も大事だがトイレも重要である。震災30年防災シンポジウムでも、発災3時間以内にトイレが必要になると問題提起があった。

マンホールトイレが指定避難所には設置されるが、自治会館・市民館などがある公園も一時避難場所として大きな役割を果たす。これらの公園にも設置することはできないか。設置する際は防犯面から、見通しの良い場所に男女別のゾーン分け、透けにくい上屋とする等の対策も必要だが考慮されているか。

また、学校のトイレも、市民の避難所となることから洋式化を進められないか。
自主防災倉庫も地域の防災拠点として重要であることから、簡易トイレやリュック型水袋など備品の充実が必要だと考えるがいかがか。

西宮市備蓄品と同等品のマンホールトイレ上屋
(テント型)

”「マンホールトイレを知っていますか
加藤篤(日本トイレ研究所) より”

南甲子園小学校マンホールトイレ

体育館入口には近い場所だが校舎裏の見通しの悪い場所で、直線的な配列であり、男女別のエリア分けをしにくい例

危機管理監
・市長 答弁

マンホールトイレは小・中学校等から優先的に整備を進めており、公園などに整備する予定はないが、大規模災害時には在宅や車中などで過ごす方もいるので、緊急避難場所への設置も国の防災基本計画や近隣市の状況などを参考に研究していく。防犯対策についても考慮していく。

現在備蓄しているテント型の上屋もシルエット対策をされたものであるが、今後もより良い製品の選定に努める。

学校トイレについては、避難所としての位置づけも考慮して環境改善・洋式化に取り組んでいく。

食料・飲料水・携帯トイレ等は、指定避難所等に分散備蓄し、家庭での準備も啓発している。災害時には公園などに避難者が集まることも想定されるので、携帯トイレも予算等を考慮しつつ、自主防災倉庫等への備蓄を検討していく。

【おくのの考え】
避難所となる学校のトイレの洋式化率を強力に推し進めるべき。西宮市の洋式化率は、阪神間がほぼ80%を超えてきているのに対して約60%と非常に低い。

学校の洋式化の計画は2025 年度までは具体化されているが、それ以降の計画はこれからだと聞いている。避難所としても学校のトイレの洋式化を強力に推し進める必要があると考える。

5.図書館と地域とのかかわり

おくの

図書館が直接地域と関わりを持つ機会は少ない。図書館基本方針には「市民に交流の機会・場を提供「」地域コミュニティの活性化に努める」とあるが、現在のとりくみの状況はどうか。

地域に開かれた図書館として、住民が使いやすい利用時間や、予約受取ロッカー、24時間利用できる返却ポストの新設などを検討することが必要と考えるがいかがか。
今後、部活動の地域移行により中学生の居場所も求められるが、どのようにとりくんでいくのか。

地域交流機能を持つ図書館施設の例

岐阜メディアコスモ

茨木市文化子育て複合施設 おにクル

危機管理監
・市長 答弁

図書館内はスペースが十分でないため、中央図書館などでパネル展示やブックフェアを実施する程度にとどまっており、今後さらなる取り組みが必要であると考えている。

開館時間は現時点では利用状況を反映したものである。予約資料受取ロッカーや24時間返却ポストは、場所の使用料や運搬経費などの課題があり増設が困難である。

2026年秋頃開館予定の(仮称)越木岩センター図書館では、行事企画や、閉館後もセンター内で図書館資料が閲覧できるようにするなど、地域や住民交流に寄与する施設となるよう整備を進めている。

これらのノウハウを既存の図書館の運営にも生かしていけるよう努めていく。
中高生の居場所について、現状は十分な座席数とは言い難いが、今後、整備を進める図書館では、多様な過ごし方ができる座席や、座席予約システムの導入などで過ごしやすい居場所となるよう取り組む。

【おくのの考え】
 「参画と共同のまちづくり」 を掲げ、図書館の基本方針にも「 市民との協働を推進する」 と掲げていることから、図書館がより市民に親しまれる場所となるよう期待する。勤労者も利用しやすい体制づくりを検討してもらいたい。

6.郷土資料館・平和資料館・市民ギャラリー

おくの

文教住宅都市、平和非核都市を宣言する西宮にとって「郷土資料館「」平和資料館「」市民ギャラリー」は重要な施設である。これら3施設のあり方や運営を今後どうしていくか。

「終活」「断捨離」により、民間にある貴重な文書や写真等の記録が失われることを危惧している。各資料館でこれらを資料として収集できないか。戦争体験証言も音声や動画で保存すべきと考える。
集めた資料は市民にも広く公開し、学校教育にも役立ててもらいたい。

危機管理監
・市長 答弁

登録博物館としての郷土資料館は、社会情勢が変化する中、考古、歴史、民俗等の資料に基づく地域の歴史を記録し発信することが求められている。平和資料館は、戦争を経験した世代が減り、戦争を実感する機会が減っているなか、現物資料を見ることができる貴重な場所である。

市民ギャラリーは、天井が高く大型の作品も展示できる会場として利用され、文化芸術の拠点として位置づけられており、その機能や役割は重要と考えている。
各施設の今後のあり方については、公共施設マネジメントの観点も踏まえながら、中央図書館が阪神西宮駅北地区に移転するまでに、施設の利活用とあわせて検討する必要がある
と考えている。

平和資料館の資料は、市民からの寄贈が中心で、今後はこれまでの戦争体験談の寄稿に加え、音声や動画などによる収集も充実させるよう、その手法などについて研究していく。

郷土資料館では、資料を寄贈・寄託・購入等により収集するほか、市民からの提供資料を収集し保管している。遺跡からの出土品など増加する資料の保管場所については課題がある。

今後も地域の歴史資料が未知のまま失われてしまわないよう収集に努めるとともに、展示などを通じて地域の資料の重要性を周知し、その保存に資するよう努めていく。

【おくのの考え】
 公共施設総量の縮減もある中、各施設が教育・文化活動に大きく役立つものであってほしいと心から願う。
戦争体験の収集に動画や映像を収集する手法を研究するとあるが、介護事業者の皆様は高齢者から多くを聞いておられる。収集には市内の介護事業者の皆様にも協力をあおぐこともいいのではと思う。動画は人の心に訴える力がある。収集を急いでもらいたい。

昨年の3月議会で質問した戦争遺跡(戦時中の弾痕が残る橋)の保存が決定しまし。
(7月頃移設予定)