「TSUNAGI通信 第2号」2024年 冬号
能登半島地震で被災された皆様にお見舞い申し上げます。
テレビに映る光景は29年前の阪神淡路大震災を彷彿とさせました。家屋の倒壊をはじめ、輪島の火事は長田の大火を思い出しました。
「震災に備えて」と言いながら現状はどうでしょうか?鳴尾北小学校区では秋に避難所設営を含めた避難訓練が行われましたが、これは西宮では初めてだったそうです。
視察に行かせていただきました豊橋市や静岡市、東京の各区では議会の各席に必ずヘルメットが常備されていました。西宮市にはありません。
氏の施設も来庁者全てには対応できないと思われます。被災地に復興支援はもちろん、この機会に西宮市の防災体制が絵に描いた餅になっていないか見直していく必要もあります。
管内視察報告
8/21 浜甲子園中学校
- 高須中・鳴尾南中との3中合同部活動
- 体育館に設置されたエアコンの効果
エアコン未設置の格技室視察後に体育館へ移動したので効果を歴然と感じました。
子どもたちが活動するすべての場に設備が必要だと思いました。
8/21 瓦木北保育所
- 公立保育所での ICT 活用
保育所支援システム「コドモン」の導入で業務が効率化され、保護者との情報共有もスムーズにおこなわれていました。私立保育所への導入もできればと思います。
10/23 生瀬幼稚園・生瀬ぽぽ認定こども園
- 認定こども園について/北部地域の幼児教育・保育ニーズについて
移転した生瀬幼稚園を改築して開園した生瀬ぽぽ認定こども園を視察しました。
西宮市では公立の幼稚園と保育所を統合して認定こども園とすることが決まっています。給食施設がない幼稚園舎をこども園に使うことは難しいとされていますが、幼稚園舎を活用することも可能とわかり、ゆったりと建築されている幼稚園舎をこども園で活用できればと思いました。
こども園でも「コドモン」が導入されており、信用度が高いソフトウエアであることもわかりました。
今後開園する公立認定こども園のあり方について、地域の皆さんの声を聴きながら政策提
言していきたいと思っています。
9月定例議会
「義務教育費国庫負担制度堅持」 についての請願を提出し採択されました
【内容】
- 教職員の未配置問題の解消にむけて、必要な財政措置を講じ、人材確保に努めること。
- 教育の機会均等と水準の維持向上をはかるため、地方財政対策を確保した上で義務教育費国庫負担制度を堅持すること。
採択されましたsが全会一致とはなりませんでした。
「少人数学級実現」にご理解いただけない会派の方も多く残念です。引き続き、学校現場の実情を知っていただけるよう議論を重ねていきます
おくの尚美 12月議会一般質問 ~抜粋~
教職員未配置について
教員未配置の学級に教育委員会はどう対応していくのか。
学校任せの対応ではなく、教員が配置されるまでの間、教育委員会の指導主事等が恒常的に支援に入ることはできないか。全国的に臨時講師の希望者が少ない現状、臨時講師ではなくとも西宮市独自で短時間の担当教員などを雇用することはできないか。
11 月 1 日時点での教員の未配置数は、小学校で29人、中学校で3人。特に課題となっている小学校においては、教頭や他の教員が、授業を分担して担当。教育委員会の指導主事等が支援を行うことはあるが恒常的な支援は業務の都合上困難。
教育委員会としては固定の担当者がいることで児童生徒の安心感につながると考えており、引き続き新たな臨時的任用教員の確保に努める。
現状、希望者の確保には、学校現場で働くことの不安を取り除くことが必要と考え、市教育委員会として担当教員による相談会の開催や、さくら FM で呼びかけを行うなど人材の発掘に努めている。
小・中学校等の臨時的任用教員は、県費負担の教職員として、国が 3 分の 1、県が 3分の 2 の給与を負担し、任命権者である県教育委員会が任用を行うため、市独自で教員を任用することは、人材確保や費用負担の面か
らも困難。
今後はフルタイムの臨時的任用教員に限らず、短時間での任用も可能となるよう県教育委員会に強く要望する
春風小のプールについて
2020年に改築が完了した春風小新校舎は、きれいで学ぶ環境としてよい施設となっている。しかし、校舎4階にあるプールは3階へ下りて天井裏に上らなければ水量調節ができないなど不具合が散見される。
なぜ現場の意見が反映されない設計となったのか。再発防止策についてどう考えるか
春風小においては、水位変更の頻度や体育担当教員の負担など運用の詳細まで設計者との意思疎通ができておらず配慮が行き届いていなかった。
学校改築における設計では教職員や学校関係者の意見を聴取しているが、今回課題となった事項については、基本的な整理事項として記録を残し、今後の改築等の設計に丁寧に反映したい。
学校給食について
給食室には空調機器が全校に整備されておらず、市内小中学校 32 校において学校給食法に基づく学校給食衛生管理基準(室温25度以下、湿度80%以下を保たなければならない)を満たしておらず、食中毒防止・調理員の労働環境において不適切である。加えて、室温管理上、夏場の献立が制限されるなど、早急な対応が求められる。
現在、学校給食での食中毒予防策は、世界で標準的な衛生管理手法(HACCP)の考え方による「学校給食衛生管理基準」による方法に加え、調理後2時間以内の喫食を徹底している。
また、加熱調理後冷却を要する食品の取り扱いでは、可能な限り、調理終了から給食を提供するまでの時間を短縮できるように、調理作業工程を工夫している。
一方、「学校給食衛生管理基準」の温度及び湿度等に関する規定を満たしていない学校があることは教育委員会も認識しており、空調設備を設置することで食中毒の発生リスク及び労働環境も改善されるものと考えている。
ただし、空調設備の設置については 2031年度に全校配置完了予定としており、近年の厳しい財政状況を鑑みると新たな予算の確保は難しく、直ちに全校に空調を設置することは困難である。
西宮浜義務教育学校について
西宮浜義務教育学校は阪神間唯一の公立小中一貫校で市内全域から就学できる「通学区域特認校制度」を採用しているが、他校区から通うには公共交通機関の利用が必要であり経済的な理由から躊躇する家庭もある。
児童生徒数を増やすには通学費等の補助が必要であり「西宮市立小・中学校遠距離通学費等補助金交付要綱」を改正して交付対象にすべきと考える。
「西宮市立小・中学校遠距離通学費等補助金」は、校区外の学校に通学している場合は交付対象としていない。学校教育活動に係る経費の負担が困難な家庭には「就学奨励金」を支給しており、校区外から西宮浜義務教育学校に通う通学費についても距離要件はあるが実費負担分を援助している。
このような状況から、同補助金交付要綱の改正にあたっては、財政面での課題に加えて、私立や国立の小・中学校、他の校区外から通学する児童生徒との公平性や就学援助制度との整合性も図る必要があると考える。
通学費等の補助は、様々な観点から整理をおこなったうえで可能性を探りたい。
認定こども園について
本年7月における浜脇地区の市立幼稚園・保育園の受入人数は合計 138 人だが、幼稚園と保育園の統合により、2025 年 4 月開園予定の「(仮称)西宮市立浜脇認定こども園」では、受入予定定員が126 人と減っている。
これでは単に従来の浜脇保育所に幼稚園を吸収させるだけではないか。市民の不安解消のため、あらためて、公立認定こども園設置の役割や理念を問いたい。
また、どこが所管することになるか。教育委員会との関わりはどうなるのか。
公立園の再編は、単なる公立施設の縮小や、幼稚園を保育所に吸収することではなく、再編により、生み出された人材や財源等を子ども・教育施策の更なる充実に活用することを目的としている。
公立園では、支援が必要な子どもや家庭に対するセーフティネットとしての役割、地域における教育・保育ニーズの受け皿として需給調整の役割、在宅で子育てをされている家庭を支援していく役割を果たしていく必要が
あると考えている。
公立認定こども園を設置する中核市では、全ての市が市長事務部局にて所管している。本市では、法律の規定等、総合的に検討した結果、こども支援局で所管することにした。
教育委員会は教育課程編成に携わらないといけないと法律で決まっているので今後ともかかわっていく。
【教職員未配置】
教職員未配置により担任がいない学級が発生することは子どもたちにも教職員にも負担を強いる大変な問題です。早急に解決するとともに、来年度以降同じことが起きないようにする必要があります。
【学校施設】
西宮市は老朽化した学校が多く「長寿命化」「大規模改修」「建替」等の計画がありますが、一度建築されると50 年以上その施設設備を使うため、工事前のヒアリングは丁寧におこなう必要があります。
【給食室の空調】
給食室に空調設備がないことは、食中毒の危険、献立の制限、調理員の健康被害につながります。体育館のエアコンはあっという間につきました。同じようなスピード感をもって設置していただきたいものです。
【認定こども園】
「浜脇認定こども園」は今後の市立認定こども園設置の大きな基準となると考えています。保護者や教職員、地域の皆様とともに子どもたちにとってより良い教育・保育が実現されるようもとめます。
管外視察報告 10/30 ~ 11/1
部活動の地域移行 静岡市・ 東京都渋谷区
2019年の中教審答申で、部活動は「必ずしも教員が担う必要のない業務」であり「将来的には地域単位の取組にして学校以外が担うべき」とされました。
2020 年の文科省事務連絡では「休日に教員が部活動に携わらない環境を構築すべきであり休日の部活動は段階的に地域へ移行すべき」としています。
教員の献身的な勤務で支えられてきた部活動ですが、少子化による「部員不足」「選択肢減少」などの課題も生じています。
静岡市は市が主体となってエリア制で展開する「シズカツ」を実証中で、渋谷区は一般社団法人「渋谷ユナイテッド」を設立して地域クラブ活動への移行を進めています。
西宮市でも、子どもたちのニーズや、教員のかかわり方などを検討し、西宮市らしい部活動を考えていきたいです。
民間プールを活用した水泳授業 豊橋市
小学校のプールは年間2か月程度しか使いませんが、施設の維持管理は費用や教職員の負担が大きく、天候の影響を受けやすい水泳授業により学校全体の時間割変更も余儀なくされます。
豊橋市では、全天候型民間プールで民間指導員の力も借りて水泳授業が実施されており、子どもたちの泳力向上も期待できます。西宮市でもプールの老朽化した学校から考えていきたいと思います。
区立認定こども園 / 待機児童解消アクションプラン 東京都足立区
足立区では「子ども家庭部」を教育委員会に編入し、乳幼児期から青少年期を通した施策が展開されていました。
西宮市も市立幼稚園・保育所を認定こども園に移行しようとしていますが、引き続き教育委員会には幼児教育から小学校・中学校への切れ目ない施策が保障されるようにもとめていきます。
足立区の待機児童対策アクションプランでは、保育需要をつかむために丁寧な調査をおこない、公立保育園を保育需要の調整弁とするなど、安定的な保育サービスの提供に努めていました。あらゆる手法を導入し、保育需要に寄り添おうとする強い意志を感じました。
感想
足立区役所では、トイレ前に広い赤ちゃんスペースがあって、ゆっくりとおむつ交換などができるようになっていました。中には「あだち子育てガイドブック」が置いてあり、必要な情報にたどりつきやすくなっていました。
渋谷区役所では、障害者に書いてもらった文字をシブヤフォントとして活用しています。トイレはすべて赤と青ではなく緑。全国で最初にパートナーシップ制度を導入した渋谷区だと実感しました。
豊橋市役所では、1階に保育士2人が常駐するキッズスペースがありました。
このように、それぞれの庁舎には、その自治体が住民にとって「住みやすい街」であるようなメッセージがめられているように感じました。
西宮はどうでしょうか?
編集後記
西宮市の財政は基金を取り崩す赤字体制が続き、2025 年度には予算が組めないといわれるほど悪化しています。12月議会では、市長・特別職の給与削減、議員報酬の5%減額が決まりました。
市職員の給与・一時金も人事院勧告を見送りました。私が議員報酬削減に賛成したのは赤字気質を変えられなかった責任が議員にあるからですが、経済成長のためには給与の引き上げが必要と思っています。
「幹部や議員も我慢しているから一般職員も我慢しなさい」ということにならないよう働きかけていきます。